海上保安庁では、船舶の運航及びウォーターアクティビティ等の沿岸海域におけるレクリエーション活動に伴う事故の減少並びに事故が発生した場合の救助率の向上を目指しています。
特に、船舶事故の約8割を占める小型船舶(プレジャーボート、漁船、遊漁船)の事故や、カヌー、SUP(スタンドアップパドルボード)、遊泳、釣り等のウォーターアクティビティ活動時の事故に対して積極的な海難防止活動を行っています。
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6 海上交通の安全を守る
CHAPTER III. ウォーターアクティビティ等の安全対策
海上保安庁では、船舶の運航及びウォーターアクティビティ等の沿岸海域におけるレクリエーション活動に伴う事故の減少並びに事故が発生した場合の救助率の向上を目指しています。 特に、船舶事故の約8割を占める小型船舶(プレジャーボート、漁船、遊漁船)の事故や、カヌー、SUP(スタンドアップパドルボード)、遊泳、釣り等のウォーターアクティビティ活動時の事故に対して積極的な海難防止活動を行っています。 1 海難防止活動
事故の多くは事故者の不注意により発生しており、これらの事故を防止するためには、船舶操縦者やウォーターアクティビティ愛好者の安全意識の向上を図ることが重要です。 このため、海上保安庁では、国の関係機関や民間関係団体と連携し、漁港やマリーナ等における訪船指導や海難防止講習会の開催、安全啓発リーフレットの配布による啓発活動を行っているほか、ウォーターアクティビティごとの事故防止のための情報をまとめた総合安全情報サイト「ウォーターセーフティガイド」を開設して情報発信等を行っており、令和元年は、新たに「釣り編」を策定するなど、内容の充実を図っています。 小型船舶の事故や、海洋レクリエーション活動が活発となる夏季は、「海の事故ゼロキャンペーン」を実施し、官民の関係者が一体となって海難の未然防止を図っています。 また、酒酔い操縦や危険操縦の禁止、適切な見張りの実施等の小型船舶操縦者が遵守すべき事項に違反することは、重大な事故につながりかねないことから、違反者に対する調査や是正指導を行っています。 総合安全情報サイト「ウォーターセーフティガイド」 「海の事故ゼロキャンペーン」ポスター 安全啓発リーフレット 海上安全教室 2 海上安全指導員
船舶事故のうちプレジャーボートによる事故は約半数を占めており、これらの事故を防止するためには、海上保安庁のみならず、プレジャーボート等の愛好者が自助、共助の考えに基づく対応をとることが重要です。 海上保安庁では、昭和49年から、プレジャーボートの安全運航のため、指導・啓発等の安全活動を積極的に行っている方々を「海上安全指導員」として指定しており、現在、全国で約1,600名の海上安全指導員が活動しています。 また、近年はカヌー、SUP、ミニボート等の新たなウォーターアクティビティが多様化・活発化しているなか、これらに対応していくため、新たな海上安全指導員制度の構築に向けて検討を進めています。 ウォーターセーフティガイドの充実強化
令和元年度は、新たに「釣り編」を策定したほか、トーイング遊具とハイドロフライトデバイスに関する安全情報、カヌー及びSUPの安全啓発動画を掲載しました。 さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に伴う、訪日外国人観光客の事故を未然に防止するため、国の関係機関や民間の関係団体と連携して、ウォーターセーフティガイドの英語版を作成し、令和2年度中に公開する予定です。 SNS等を活用した安全情報の発信
海上保安庁では、より多くの国民の皆様に安全啓発に関する情報をお知らせするための取組として、Twitter、YouTube等を積極的に活用しています。 Twitterを活用した情報発信
日々の海難発生状況から得られた事故防止に有用な安全情報をすばやく皆様にお知らせするため、Twitterを活用して、タイムリーに発信しています。 YouTubeを活用した安全啓発動画の発信
安全啓発動画の例として、カヌー及びSUP愛好者に対し、荒天時における初心者と熟練者の操船技能を比較した映像を基に作成した動画を発信しているほか、海水浴を楽しまれる皆様に対し、子供から大人までの幅広い年齢層に親しみやすいアニメーション動画を発信しています。 この他、地域特性に応じた様々な動画を発信するなど、YouTubeを活用し、分かり易く安全啓発を実施しています。 アマゾンジャパンと連携したウォーターセーフティガイドの周知
Amazonでカヌー、ミニボート、SUPの関連商品を購入した利用者に対してAmazonあんしんメールを配信し、電子メールによるウォーターセーフティガイドの周知を行っています。 カヌー及びSUPの安全啓発動画 海難防止啓発アニメーション 〜離岸流〜 3 「海の安全情報」の提供
海上保安庁では、海難を防止することを目的として、プレジャーボートや漁船等の操縦者、海水浴や釣り等のマリンレジャー愛好者の方々に対して、全国各地の灯台等で観測した風向、風速、波高等の局地的な気象・海象の現況、気象庁が発表する気象警報・注意報、ミサイル発射や避難勧告等に関する緊急情報、海上工事や海上行事等の状況に関する海上安全情報、海上模様が把握できるライブカメラ映像等を「海の安全情報」として提供しています。 「海の安全情報」は、パソコンやスマートフォン等で利用することができ、特に、スマートフォン用サイトでは、GPSの位置情報により、現在地周辺の気象・海象の現況、緊急情報等を地図画面上に表示することで、手軽に必要な情報を利用することができます。 また、気象・海象の現況、気象警報・注意報、緊急情報を事前に登録されたメールアドレスに電子メールにて配信するサービスを提供しています。 平成31年4月には地震発生情報やミサイル発射情報を自動で速やかに利用者に配信できるようになったほか、訪日外国人観光客の増加に伴う英語ページを新設するとともに、より多くの利用者に情報を届けるため、Lアラート*への配信を開始するなど、機能の強化を行いました。 *災害時における迅速かつ効率的な情報伝達を目的として、国や地方公共団体等が発する災害情報等を多様なメディアに一斉配信するための、一般財団法人マルチメディア振興センターが運営する共通基盤システム。 ウォーターセーフティガイドの充実強化
ウォーターセーフティガイドについては、今後も多様化・活発化するウォーターアクティビティに対応するため、事故の実態を踏まえたうえで、官民連携による意見交換会を定期的に実施し、内容の充実強化のほか、新規分野の追加等、様々な情報提供ツールを活用して、より多くのユーザーへの浸透を図ります。 安全対策を推進する官民連携ネットワークの強化
ウォーターセーフティガイドの意見交換会や日本水上安全・安全運航サミット(JBWSS)等を通じ、国の関係機関・民間関係団体等との関係構築を進め、多様化・活発化するウォーターアクティビティの安全対策を総合的に推進するため、安全対策を推進する官民連携ネットワークの強化を図ります。 新たな海上安全指導員制度の試行
小型船舶の安全対策の一つとして、米国等の安全対策の取組等を参考に、海難の防止に向けてより効果的に活動するための新たな海上安全指導員 制度の構築に向け、水上オートバイユーザーを対象とした新制度を試行することとしています。 安全対策の重点化
過去の海難の発生頻度や死傷者の発生状況などの視点から分析を行い、船舶事故(アクシデント)に重点を置いたターゲットを定め、よりきめ細やかな安全対策を講じていくこととしています。 北米水上安全組織関係者の初来日〜日本と米国における水上安全協力体制の構築〜
令和元年6月、米国の水上安全を統括する米国沿岸警備隊(USCG)のスコット・ジョンソン課長をはじめ、北米水上安全組織関係者9名が来日し、海上保安庁等が主催するJBWSSに参加しました。 来日中、横浜海上防災基地で行われた「カヌー及びSUPの安全運航技術の確認並びに意見交換会」へ参加し、日米の海上保安機関とカヌー及びSUP関係者が一堂に会する会議となり、日本の民間関係者の安全意識の高揚に繋がったほか、米国関係者からも高い評価が得られました。 また、海上保安庁への表敬訪問を受け、日米の水上安全の相違等を議題に積極的な意見を交わしたほか、東京海洋大学で開催されたJBWSSでは、日米の官民65団体が参加する中、両国における水上安全の取組が共有されるなど、日米の水上安全協力体制の構築に大きく寄与するものとなりました。 カヌー及びSUPの安全運航技術の確認 |